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議事 |
退職金
<不支給・減額の要件>
退職金の不支給、減額は退職金規定等に明記して初めて労働契約の内容となりこれを行うことができる。なお、明記してあってもそれに形式的に当てはまらない場合は、不支給・減額できないのが原則である。
*アイ・ケイ・ビー事件・東京地裁平6.6.21
就業規則に定める懲戒基準に該当する反則が退職の原因となった者に対しては、その者の算定額から50%以内を減額すると定めている場合、懲戒解雇相当事由があるが懲戒解雇されなかった者、懲戒解雇相当事由が退職の原因とならなかった自発的退職者について、この不支給・減額規定を拡張して適用することはできない
<著しい背信性を理由に退職金の不支給が認められたケース>
*大器事件・大阪地裁平11.1.29
自主退職成立後に懲戒解雇の意思表示をして退職金を不払いにしたケースで、雇用契約終了後に懲戒権を行使することはありえないとしつつ、退職金不支給事由を懲戒解雇と関係させて規定している場合、その趣旨は、現に労働者を懲戒解雇した場合のみならず、雇用契約が終了した場合でも、退職金不支給を相当とするような懲戒事由が存在した場合には退職金を支給しない趣旨であると解することは可能であるとして、見積価格の1割高の価格で商品を仕入れていたこと等の行為の背信性の重大性に鑑み、退職金の不支給を認めた。
<競業避止義務違反に基づく退職金の不支給・減額の可否>
*三晃社事件・最高裁昭52.8.9
退職後一定期間に同業他社に就職した場合、退職金を半額にするという規定は有効。
<自己都合退職か会社都合退職かの判断基準>
退職にいたる具体的事情を総合的に判断して決定
*クレジット債権管理組合事件・福岡地裁平3.2.13
事実無根の横領行為への関与を疑われ、違法な業務命令を受けた労働者が退職届を提出したケースで、退職届を提出したのは、一連の違法行為によるものであり、やむをえない業務上の都合による解雇と同視すべきとし、会社都合の退職金の支払を命じた。
*株式会社ニチマ事件・東京地裁平9.3.21
賃金の遅配欠配を理由として退職したケースで、「やむを得ない業務上の都合による解雇」の場合に準じて退職金が支払われるべきであるとの主張に対して、解雇されたものでないから、上記場合に準ずるものとは認められないとして自己都合の乗率による退職金のみを認めた。
<早期退職優遇制度をめぐる問題点>
退職優遇制度があくまで「優遇」制度であることから、
@ 制度の設計・導入・実施、実施時期、対象者、使用者の承諾の要否、募集期間・人数、割増退職金の額などについて、企業に広汎な裁量を認めている。
A 個々の労働者の応募に対し、使用者の個別承諾を要件とすることを認める。
*日本テキサスインスツルメンツ事件・東京地裁平8.12.20
*イーストマン・コダック・アジア・パシフック事件・東京地裁平8.12.20
優遇制度が採用されることを知らずに退職願を提出し退職した従業員との関係で、会社には発表前に特定の従業員に早期退職優遇制度の採用を告知すべき信義則上の義務はない。
*長崎屋事件・前橋地裁桐生支部平8.5.29
早期退職優遇制度の適用を受けて退職した直後に、より有利な新たな優遇制度を設置したとしても、すでに退職した労働者の期待権を侵害することもないとして、不法行為に基づく差額部分の損害賠償請求を否定した。
<社労士として>
会社が退職金を従業員に支払うというのであれば、これは就業規則の相対的必要記載事項であるため、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払い・支払いの時期が明確になっているか再確認する必要がある。またこれが、退職金請求の根拠になる。退職金を不支給にすることに関しては、従業員の行った行為の背信性が重大だったかどうかが問われ、重大な場合は不支給が認められることを承知しておくことである。自己都合退職か会社都合退職かによって退職金の支給率が変わってくるものが多いが、賃金切り下げや通勤不能な場所への配転など、経営上の理由による労働契約の本質的な変更により退職にいたった場合には、使用者側の事情に基づく解雇と同様な扱いをするといった視点を持つ必要がある。
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