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失踪した社員の退職の取り扱いですが、例えば社員寮から荷物をまとめて蒸発した場合には、その会社で働く意思がないことを態度で表明したものとして、黙示の退職の意思表示として取り扱うことは可能ですが(昭22・3・31基初513号)、単に蒸発して行方不明となった場合だけでは、そのように取り扱うことはできません。
そこでご質問のケースのように無断欠勤などを理由として解雇することになりますが、民法第97条第1項により、解雇を有効に成立させるためには、解雇の意思表示が本人へ到達することが必要となります。 失踪した労働者にこの意思表示をすることは大変困難なため、民法第97条第2項の公示送達という方法により、労働者の最後の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てをし、裁判所の掲示板に掲示するほか、官報や新聞に少なくとも1回掲載するなどの方法により、労働者へ解雇の意思表示を行わなければなりません。
この方法は繁雑で時間がかかりますので、労働者が失踪した時点で退職の意思表示があったものとみなして、依願退職扱いとする方法もあります。 しかしながら、このみなし退職は解雇にはなりませんので、退職金を不支給とすることはできません。 よって退職金の支払の時効である5年間はその支払を保留した形で退職金を保管しなければなりません。 その場合、時効が成立すれば、労働者の退職金の請求権は消滅しますので支払う必要はなくなりますが、5年以内にこの労働者が退職金を請求してきた場合は、支払う必要があります。
尚、公示送達により解雇が成立した場合の退職金の支払についてですが、その解雇事由が就業規則に定める懲戒解雇事由に該当し、また、退職金についても就業規則等により、懲戒解雇事由に該当し、懲戒解雇となった場合は退職金を支給しないと明記されていれば退職金を不支給とすることができます。
2011.4
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