Q.26 加入者や受給権の保護はどのようになっていますか?
 
A.26 確定拠出年金は今までの企業年金に比べ加入者や受給権を手厚く保護しています。
企業型年金の開始は事業主の判断でできますが、規約の決定には労働組合等の過半数の同意が必要になり事前の労使協議が欠かせません。
また、制度の廃止も加入者等の過半数の同意が必要となり税制適格年金のように勝手にやめることはできません。
受給権は、少なくとも3年以上加入すれば積立資産の全額が個人のものとなり、資産管理機関で個人別に安全に管理され、加入者は自分の資産残高をいつでも知ることができます。
法律上も事業主、運営管理機関および資産管理機関に対し行為準則として忠実義務が定められている他、運用商品に対する情報開示の不備などにより損害が発生した場合の損失補てんや事業主などが第三者に対し利益供与などをした場合の罰則が定められています。
また、加入者等の個人情報に対するプライバシーの保護も厳しく定められています。

Q.27 企業型を導入する場合、加入できない従業員はどのような人ですか?
 
A.27

パート従業員など、被用者年金被保険者(厚生年金の被保険者、私学共済の加入員、農林漁業共済組合の組合員)でない人は、企業型年金加入者となることはできません。
また、見習期間中・試用期間中の従業員については企業型年金加入者としないことができます。
規約に加入者を限定する定めがとくにない場合は、60歳未満の被用者年金被保険者はすべて企業型年金加入者となります。
規約に企業型年金加入者となる一定の資格(「一定の職種」、「一定の勤続期間」)を定めたときは、その資格をもたない者を企業型年金加入者としないことができます。
ただし、資格を定めたために企業型年金加入者となれない従業員については、加算部分を含む厚生年金基金、適格退職年金(確定給付企業年金)、退職金前払い制度を含む退職手当制度があることが条件となります。
パート従業員など企業型年金加入者になることができないものについては、パート用の退職金規定を設けるなどの配慮が必要になります。


Q.28 企業型年金に一定の年齢の従業員だけや希望者だけを加入させることができますか?

 

A.28 規約に一定の年齢未満の従業員のみを企業型年金加入者とすることができますが、一定の年齢以上の従業員のみを企業型年金加入者とすることはできません。
現在、税制適格年金をおこなっている会社では、一定年齢未満の従業員だけを企業型年金の加入者とすることができます。この方法をとりますと定年が近い従業員の既得権を損なわず、緩やかに確定拠出年金に移行できます。
また、加入者となることを希望したものだけを企業型年金加入者とすることもできますが、企業型年金加入者とならないことを希望した従業員について、退職金前払い制度を含む退職手当制度があることが条件となります。
ただし、退職金前払い制度は退職金を給与として支払うことを意味し、退職金制度の否定となります。希望者のみ加入できるとした場合、会社は確定拠出年金を希望すれば税制上これだけ有利であり従業員にとってどれだけのプラスがあるかなど、制度を利用した場合の効果を明示する必要があります。
この説明を怠って希望者のみ加入できるとした場合は、自分のライフプランを考えずに目先の利益にのみ走る従業員が続出し、従業員の将来のために導入した確定拠出年金が逆効果になってしまいます。


Q.29 事業主や役員も加入できますか?
 
A.29 厚生年金法は労働基準法などの労働法の考え方と違い、事業主や役員も法人に使用される者として被保険者になります。
企業型確定拠出年金では厚生年金適用事業所に使用される被用者年金被保険者等が加入の対象になっていますので、規約に役員除外が規定されていなければ企業型年金に加入することは可能です。
しかし、事業主や役員は会社の経営を左右する大事なポストですから、自分たちの将来だけでなく会社の将来と事業主や役員が欠けたときに会社が受けるリスクまで考えておかなければなりません。
やはり、事業主や役員には従業員とは異なる退職金制度として役員退職金規定を整備し、養老保険や長期定期保険などの保険商品を活用して役員退職金の積立をおこなうと共に事業主や役員の万が一の場合に備えて、遺族と会社の双方にまとまった額の保険金がおりるように制度設計する必要があります。

Q.30 毎月の掛け金はどのように決定できますか?
 
A.30 事業主掛金は、定額又は給与に一定の率を乗ずる方法その他これに類する方法により算定した額によることになっています。
定額の場合は年齢や勤続年数などに関係なく、企業型年金加入者全員に同額の掛け金を拠出しなければなりません。
給与に一定の率を乗ずる方法は、原則として給与規定、退職金規定に定められたものを給与として一定率を掛けますが、年金制度のためだけに給与規定、退職金規定に特別に定められたものであっても事業主の恣意が介入する恐れのないものについては給与とすることができます。
確定拠出年金は個人ごとに資産管理されますので、掛け金額は柔軟性をもって決定できるはずですが、定額制が使えないなど成果主義賃金制度と退職金制度をリンクさせることは非常に難しくなります。
確定拠出年金に成果主義を取り入れる場合は、賃金制度と別の退職金等級基準を設けて退職金専用の賃金表を別テーブルで作り、その一定率で拠出額を決定するなどの工夫が必要になります。