Q.21 現在、当社は中小企業退職金共済制度に加入していますが、同時に企業型確定拠出年金も導入したいと考えています。拠出限度額はどのようになりますか?
 
A.21 中小企業退職金共済制度や特別退職金共済制度などの退職金共済制度は、確定拠出年金
法では企業年金制度とみなしません。
ですから、中小企業退職金共済制度だけに加入している御社の場合は企業型確定拠出年金の2タイプのうち確定拠出年金以外の企業年金がない会社に該当し、月額36,000円を限度として拠出できます。
企業型確定拠出年金は企業が運営管理の主体になり、運営管理期間に委託するにしても事務管理や投資教育に多額のコストが必要となります。
中小企業退職金共済制度を退職金制度のメインとして、確定拠出年金を上乗せと考えるならば個人型年金を導入する方法があります。
掛け金を会社が全額負担する福利厚生制度として、社員を2号加入者として個人型年金に加入させます。会社は掛け金以外の費用負担が生じませんし、社員も給与所得として課税されることなく退職金の上乗せがはかれます。
この場合は月額15,000円を限度として拠出できます。

Q.22 退職給付債務はどうなりますか?
 
A.22

退職給付債務は、退職一時金制度と確定給付型の企業年金のように将来の給付額を約束した制度において積立金が不足している場合に生じます。
確定拠出年金は毎月の拠出額は約束しますが給付額は約束しません。ですから確定拠出年金には退職給付債務の問題は生じないことになります。
退職給付債務は新会計基準で決算行うことが義務付けられている株式公開企業や金融機関にとっては会社の格付けにかかわる大変重要な問題ですが、中小企業にとっては今のところそれほど重要な問題と認識されていません。
しかし、退職金の問題を将来必ずやってくるリスクと考える中小企業、近い将来株式を公開したいと考えている中小企業などは、退職給付債務を計算して現在の退職準備金がどの程度不足しているか確認する必要があります。
中小企業退職金共済や確定拠出年金を導入し退職給付債務を減少することは、財務や会計によい影響を与えるだけでなく、金融機関や取引先の貴社に対する格付けを上げることにつながり資金調達や取引に有利に作用します。


Q.23 企業型年金を導入する手順を教えてください。
A.23 通常、つぎのような手順になります。

 


1.

退職金制度の見直し、財務分析と移行方法の検討を行います。
2. 資産管理機関、運営管理機関、運用商品の選定を行います。
3. 確定拠出年金規約案を作成します。
4. 労働組合などと労使協議を行い、資産管理機関・運営管理機関・運用商品・規約を最終決定します。
5. 資産管理機関・運営管理機関と契約します。
6. 厚生労働大臣に規約の承認申請を行います。
7. 従業員向け説明会を開催し、制度の概要・投資の方法、商品などの投資教育を行います。
8. 企業型確定拠出年金制度を開始します。
 
企業型確定拠出年金制度開始後も、従業員に対する投資教育や運用商品の情報提供、従業員の質問に対するフォローが必要になります。

Q.24 企業型確定拠出年金規約にはどのようなことを定めるのですか?
 
A.24 少なくとも次のことを規約に定める必要があります。
 

1.

事業主の名称及び住所
2. 実施事業所の名称及び所在地
3. 事業主が行う運営管理業務
4. 運営管理業務を委託した場合は確定拠出年金運営管理機関の名称及び住所並びにその行う業務
5. 資産管理機関の名称及び住所
6. 実施事業所の企業型年金の加入資格に関する事項
7. 事業主掛金の額・算定方法に関する事項
8. 運用方法及び運用指図に関する事項
9. 給付の額及びその支給の方法に関する事項
10. 3年未満で退職した場合の返還資産額の算定方法に関する事項
11. 企業型年金の実施に要する事務費の負担に関する事項
12. その他、政令で定める事項
 
規約は被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるときはその代表者の、第2号被保険者等の過半数で組織する労働組合がないときは被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意が必要です。

Q.25 確定拠出年金を導入すると従業員にどのようなメリットがありますか?
 
A.25 従来の確定給付型の企業年金(厚生年金基金・税制適格年金)は、会社から年金数理計算により決定した掛け金をまとめて専門化が運用します。
計算結果や運用状況はほとんどの社員の目に見えず、会社の状態により給付切り下げや制度廃止の問題などが発生する恐れがあります。
確定拠出年金は、会社の拠出金と運用益が個人別管理資産として個人ごとに信託銀行などで安全に管理されます。
個人別の資産残高はいつでも確認することができ、会社の経営状態にかかわらず積立てられた個人資産は全額自分のものになる、目に見える年金というメリットがあります。
運用の面でも他人任せにせずに自己責任で商品を組み合わせて選択し、自分のライフプランに合わせて運用できるというメリットがあります。
また、従来の確定給付型の企業年金は、長期間会社に在籍しなければ受給権が生じないなど途中採用社員や転職志向の若年労働者には不利な制度でしたが確定拠出年金は、3年以上在籍すれば全額自分のものになるというメリットと転職した時に自分の個人別管理資産を持ち運び継続して運用できるという大きなメリットもあります。