Q.16 税制上どのような優遇措置がありますか?
 
A.16 個人型年金、企業型年金とも掛け金の拠出時・個人別資産の運用時・給付を受ける時の3段階で優遇措置が受けられます。
 


掛け金の拠出時 
  個人型年金では加入者が拠出した掛け金を所得から全額控除でき課税されません。
企業型年金では会社が拠出した掛け金について、会社は法人税法上損金に算入でき課税されず、社員は所得税法上給与として課税されません。


個人別資産の運用時
  個人型年金、企業型年金とも個人別資産の運用により生じる利子、配当、分配金などに所得税や住民税が課税されません。
ただし、毎年の個人別資産残高に特別法人税等が課税されます。
(平成14年度まで課税は停止されています。)


給付を受ける時
  障害給付金については個人型年金、企業型年金とも公的年金と同様に課税されません。死亡一時金については相続税の課税対象となり法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります。
老齢給付金については年金として受け取る場合は、公的年金と同様に雑所得となり公的年金等控除の適用が受けられます。
一時金として受け取る場合は、掛け金払込期間を勤続年数とみなして退職所得課税が適用されます。

Q.17 特別法人税とは何ですか?
 
A.17

通常、積立金の運用により生じる利子、配当、分配金などは、利子所得や配当所得などとして課税されますが、確定拠出年金の運用益には課税されません。
税法ではその見返りとして積立金残高の約1.7%の特別法人税などを課税することになっています。
特別法人税は厚生年金基金や税制適格年金の資産残高にも課税されてきましたが、厚生年金基金は課税対象となる資産の算定方法が特殊なためにほとんど課税されず、税制適格年金の場合は会社が特別法人税の全額を負担していました。しかし、確定拠出年金では積立資産が個人ごとに分別管理されていますので特別法人税を個人が負担することになります。
特別法人税は積立金残高に課税されますので資産運用においてはマイナスに作用し、運用の効果を下げる要因になります。
現在の運用率の悪化と確定拠出年金の導入推進のため、平成14年度まで特別法人税などの課税は停止されていますが、預貯金や国債など運用利率の低い元本確保型の金融商品での運用にとって、特別法人税の負担は事務費の負担と共に大きな問題となります。


Q.18 確定拠出年金を導入すると会社にどのようなメリットがありますか?

 

A.18 従来の確定給付型の企業年金(厚生年金基金・税制適格年金)は、運用環境の悪化や景気低迷による収益減・リストラによる脱退者の増加などにより、準備しなければならない積立金の不足に直面しています。
また、2001年3月期からの退職給付会計の導入により、今まで企業本体の会計から分離されていた企業年金の積立不足を負債として処理することが株式公開企業や金融機関などに義務付けられました。
確定拠出年金は掛け金の拠出だけを約束していますので、将来の給付を約束する確定給付型の企業年金と違い運用環境の悪化による積立不足の問題が生じないというメリットがあります。
財務・会計の面でも掛け金拠出の費用処理だけで済みますので財務の計画が立てやすくなり、貸借対照表に負債が生じる問題も回避できるメリットがあります。
財務・会計の問題を解決することは、企業の格付けを向上させ資金調達や取引先に対する信用を増すというメリットも生じます。

人事・労務の面では、今までの確定給付型の企業年金が終身雇用を前提に制度設計されていたため、処遇が長期勤続者に厚く中途採用者に薄いという問題があり、従業員にとっても退職するまで自分がもらえる金額がよくわからないという不満がありました。
確定拠出年金は個人資産が持ち運びでき、雇用の流動化による転職の増大や中途採用者の処遇に適しているメリットと従業員に自分の持分が目に見えることによるやる気の向上と言うメリットがあります。
また、会社に依存してきた従業員が投資・運用や自分のライフプランを自らが自己責任で考えるようになり会社から自立するメリットがあります。

Q.19 どのような会社が企業型の確定拠出年金を利用できますか?
 
A.19 厚生年金保険に加入している企業、私学共済に加入している私立学校、農林漁業共済組合に加入している事業所が企業型確定拠出年金を利用することが出来ます。
厚生年金基金や税制適格年金と違い、加入者数の最低限度がありませんので大企業はもちろん、中小・零細企業でも利用することが出来ます。
企業型年金の拠出限度額は確定拠出年金以外の企業年金の有無により2種類あります。
(私学共済・農林漁業共済組合に加入している私立学校・事業所は、確定拠出年金以外の企業年金がある事業所とみなされます。)
企業型確定拠出年金の導入決定は事業主が行いますが、税制適格年金と異なり、規約の制定や確定拠出年金の終了には厚生年金等の被保険者の過半数の同意を必要とします。
企業型確定拠出年金の導入にあたり、現在の退職金制度の見直し、導入の必要性、維持経費の算出、財務の裏付けなど社内での検討が非常に重要になります。

Q.20 複数の会社が共同して導入できますか?
 
A.20 中小企業が企業型年金を導入した場合は、一回の掛金額や積立金残高が少ないことが予想され信託手数料や運営管理機関の管理費用、投資教育にかかる費用、運用商品の売買手数料などが割高になることが懸念されます。
運営管理費用は年金制度の規模が大きくなればコストダウンできることから、同一の企業型年金規約(共同設立型規約)のもとに複数の企業が資産管理機関と運営管理機関を同じくする共同型が認められています。
ただし、設立事業所の脱退や新規加入のたびに規約の変更が必要となり、参加する事業所ごとに過半数を代表する者の同意が必要となるなど、手続きが非常に煩雑になります。
また、独自の企業型年金規約を持つ複数の企業が、運用商品や掛け金の送金期限、運用指図日を同一にするなど、資産管理機関段階での運用管理を連合して行う連合型資産管理契約を結び、資産管理機関段階におけるコストを削減することも認められています。